NEWS

年頭あいさつ 東海国立大学機構の基盤を一層強化し、国立大学法人統合の成功モデル構築の年へ

2021年1月 4日

機構長・副機構長メッセージ

皆様、新年あけましておめでとうございます。東海国立大学機構(以下、東海機構)は昨年4月に発足し、今回初めての新年を迎えます。年の始めにあたり、メッセージをお届けしたいと思います。

 

昨年はまさにコロナで始まり、コロナで終わった一年でした。新型コロナウイルス感染症パンデミックの猛威は私たちの活動のあらゆる領域で甚大な影響を及ぼしました。わずか数か月や半年で人類社会の様相が一変したのですから、そのインパクトは計り知れないものがあります。また、地球温暖化の影響で自然災害が猛威を振るい、世界中で数えきれないほどの人々が苦しんでいます。人類が大きな課題に直面した時には必ず、分断や格差の拡大が起こります。世界中で見られる光景は、その深刻さを示すものでしょう。まさに地球規模で深刻な課題が山積しています。しかし一方で、我々人類は困難な課題を解決するために多様な人たちが連携協力して困難に立ち向かう、人間として誇るべき特性も持っています。その代表的な例が、国連が提唱しているSDGsの国際連携の取り組みです。

わが国では以前からレジリエントで持続的発展可能な社会の実現には、東京あるいは大都市一極集中ではなく地域分散型社会の構築が望ましいとされてきました。しかし、現実にはこの構想は遅々として進んでいませんでした。しかし今回のコロナ禍の巨大なインパクトは、地域創生の必要性を再認識させることになりました。そのような中、岐阜大学と名古屋大学が法人統合により設立した東海機構はその目標を「地域創生への貢献と国際競争力強化を同時に成し遂げる」こととして協議を重ねてきましたが、今まさにその理念を実現することがわが国にとって極めて重要であるとの思いを強くしました。東海機構は早くも出番を迎えていると考えています。

 

東海機構は昨年4月の発足早々、コロナ禍に見舞われましたが、幸いにもオンラインツールの活用で、両大学間のコミュニケーションは以前にもまして活発になりました。これは一つには、それまでの両大学のパイプが相当太くなっており、すでに人的ネットワークが確立していたことが大きいと思います。このような状況ではオンラインの活用で会議や意見交換は、対面のみで行うよりもはるかに密にかつ高頻度で行えます。その結果、感染拡大防止策や学生支援策などのリスク対応においても、両大学が東海機構として組織的に取り組むことができました。また、両大学の執行部が想定していたよりも速いスピードで東海機構の諸事業が進んでいるものと認識しています。東海機構直轄で進めている取り組みとしては、もともと東海機構発足前に両大学で合意形成がされていた、事務組織の統合と効率的運用、教育に関する新たな仕組みの導入(アカデミック・セントラル)、教育研究拠点(糖鎖生命コア研究拠点、航空宇宙研究教育拠点、健康医療データ統合研究教育拠点、農学教育研究拠点)があり、いずれも順調に協議が進んでいます。今年は具体的な形で直轄事業の成果を東海機構内外に示せるのではないかと考えています。特に糖鎖生命コア研究拠点の形成においては、「ヒューマングライコームプロジェクト」が文部科学省の「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想-ロードマップ2020-」への掲載が決定し、国の重要プロジェクト候補の一つとして今後大きく発展する可能性が出てきています。一大学だけではなし得なかった快挙であると思います。

 

東海機構はさらに、法人統合の効果をより積極的に生かすための取り組みとして、東海機構執行部と両大学の各部局(学部/研究科)との間で、部局の中長期ビジョン対話を昨年8月から開始するとともに、これと並行して、研究、教育、産学連携・地域貢献、学生支援、多様性促進、ガバナンス、財務、施設、働き方改革、大学のデジタル化など東海機構横断的な領域・課題についても対話を重ねてきました。部局ごとの対話を縦糸とすれば、領域ごとの対話は横糸にあたります。今年は縦糸と横糸を組み合わせて、東海機構としての具体的な目標と施策を作ってゆくことになります。またこのような対話を通じて改めて認識したことは、東海機構自体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要だということです。これを通じて東海機構のステークホルダーとなりうる100万人規模の多様な人々が東海機構をオープンに活用する場づくり=デジタルユニバーシティー100万人構想を掲げて未来型大学への脱皮を図ることが重要であると考えています。

2022年度から始まる国立大学の第4期中期目標計画期間の開始にあたっては、国の運営費交付金の配分システムや国立大学法人の資金調達スキームが大きく変わることが予測されます。従来の国立大学の3類型も新たな体系に組み替えられる可能性があります。現在国においては急ピッチで第4期に向けての諸議論が進められているところです。今年は、国立大学の第4期中期目標期間(2022~27年度)に向けて先の将来ビジョンとアクションプラン策定により万全の準備を整えるとともに、東海機構全体をわが国トップクラスの国立大学法人システムに進化させるための組織固めをする重要な年であると認識しています。

今進めている先進的な取り組みを実現させることが、まだ発足したばかりの東海機構のレピュテーションを高めることにつながり、ひいてはそこで活動する教職員や学生のモチベーションを高めることになると考えています。今年1年、すべての教職員・学生の皆様と東海機構の大きな夢を共有し、東海機構の発展に尽力したいと思います。どうかよろしくお願いいたします。 

 

国立大学法人東海国立大学機構  

機構長  松尾清一

副機構長 森脇久隆

 

 

――― ニュース一覧へ ―――