量子フロンティア産業創出拠点

量子フロンティア産業創出拠点

 

目的:

我が国の量子を取り巻く社会状況として、現在、「第2次量子革命」が進行中といわれている。この新たな動きは、コンピューター、通信、暗号、センサー技術を革新すると期待されており、米国や中国を中心にその覇権争いが激しさを増している。我が国においても、国家戦略のひとつとして量子技術の社会経済システムへの利活用が進めてられており、世界と競争する体制の整備を進めている。

このような社会状況の中、名古屋大学の強みのひとつである「化学」の観点による量子技術の社会実装と、岐阜大学で進めている最新の量子技術を用いた次世代MRI技術(超偏極MRI)の医療応用という、それぞれの大学 が独自で推進してきた2つの研究活動を主軸にして、両大学間 で強く連携を進める。そのために、原子・分子レベルで量子状態を制御して医療および産業への利活用を促進する「量子フロンティア産業創出拠点」を形成し、量子研究の産業応用を加速させるとともに、新たな研究展開や新産業創出を目指す。

 

概要

第二次量子革命をもたらすと期待される「量子2.0:量子科学技術が切り拓く新たな地平」では、量子重ね合わせや量子もつれなどの基礎科学理論の発展に伴い、量子コンピュータ・量子ソフトウェア・量子医療診断が社会実装されると期待される。しかし、現状においては、半導体やレーザーなどの既存技術「量子1.0」と新技術「量子2.0」の間に大きな隔たりがあるため、実用までの道のりは長い。そこで、本拠点 においては、多元素利用、原子配列制御など化学的な観点を持ち込むことで、新しい化学・電子材料を生み出して、医療・産業への利活用に繋げることを目指す。すなわち、現状において 隔たりがあった量子1.0と量子2.0の世界に多様性をもたらすことが期待される。

本拠点は、3つの大きな部門(理論・計測、量子制御技術、新技術創出)から構成される。「理論・計測部門」では、量子技術に関わる理論や新しい光源、顕微技術などの開発を行う。「量子制御技術部門」では、低毒性量子ドット、二次元ナノシート、新たな蛍光色素の設計・合成を行う。「新技術創出部門」では、レアメタル非依存性化学触媒、量子コンピューター基盤技術、超偏極MRIなどの開発を推進する。以上の3つの部門が連携しあうことで、社会経済システムにおける量子技術実装を劇的に加速する。

 

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目指す効果

量子・化学・医療・材料・情報等の融合により、技術・産業のフロンティアを開拓し、これまでにない新たな量子産業の創出を目指す。具体的には超高効率太陽電子や、超高繊細ディスプレイ、量子コンピューター電子材料開発、超早期医療診断技術の開発などが挙げられる。

 

社会への波及効果

量子技術を活用したレアメタルから脱却した新たな化学触媒により、触媒の安定供給、高機能触媒による炭素循環社会が実現される。環境低負荷な元素を用いた多元量子ドットにより、低エネルギー・超高繊細ディスプレイ、次世代太陽電池の実用化が期待される。量子技術を用いた新たな生体イメージングにより、これまで未知であった生体現象の可視化や、超高感度な病理診断が実現される。

 

 

量子フロンティア産業創出拠点

  •  名古屋大学未来社会創造機構量子化学イノベーション研究所
  •  岐阜大学医学部附属量子医学イノベーションリサーチセンター